一般的に木造住宅におけるシロアリによる被害の総額は、全体でみると火災による被害よりも多いといわれており、住まいの災害として深刻です。
一条工務店では、基礎の防蟻工法や木材の乾燥・防腐防蟻処理により、シロアリ対策は万全を期していますが、住まいによってはシロアリ被害にあってしまうこともあります。
シロアリは4月~10月に最も活発に活動します。
住宅外部の基礎、玄関、勝手口、お庭周りなどは、この時期に定期的に点検することがおすすめです。
家を守るためにシロアリを徹底的に駆除しましょう。
シロアリの侵入を防ぐ対策
シロアリ被害を防ぐためにはシロアリの侵入を防ぐことが重要です。
自分の家だけではなく、周辺の状況も普段から確認しておきましょう。
近所で被害が発覚したら要注意
イエシロアリは、地中の巣から蟻道を100mほど延ばして餌を探し回ります。
被害にあった家が数件離れていても油断は禁物です。
シロアリの侵入経路を把握する
シロアリは蟻道の中を往来して建物に侵入します。
また、ヤマトシロアリの場合はより多湿なところを好むため、浴室、トイレ、洗面室などの水まわりが進入路となるケーズが多くみられます。
シロアリが好む場所
シロアリは湿った場所を好み、光と風を嫌います。
ちょっとした注意が被害を防ぐポイントです。
① 建物周辺には木材や紙類を長期間放置しない
庭や軒下に放置してある木材や紙類からシロアリが発生するケースが多くみられます。
② 切株や10年以上経過した古木を放置しない
シロアリは、古木や枯れかかった樹木を侵食し巣をつくります。根元から取り去ってしまいましょう。
③ 基礎換気口の前にブロック、植木鉢、ゴミなどを放置しない
基礎のまわりに長期間障害物を置くと、陰になる部分にシロアリが蟻道をつくり、建物に侵入するおそれがあります。
基礎のまわりはすっきりと片付けておきましょう。
④ 建物に隣接させて物置、倉庫などをつくらない
床下の風通しが悪くなります。
また、基礎が隠れてしまうと、蟻道の有無の点検もできなくなります。
シロアリの点検方法
普段の注意がシロアリの侵入を防ぎます。
「蟻道」とは、その字のごとく「アリの道」のことで、シロアリが土や排泄物・餌の食べかすでつくった「餌場へ向かうトンネル」のことです。
シロアリは光や乾燥を嫌いますので、地中から餌の木材までの道のりに「蟻道」という道路をつくり、その中を行き来します。
シロアリ被害を見つける場合、この蟻道の発見が肝心です。
① 外部の基礎まわりを調べる
外まわりの基礎の立ち上がり部分に、「蟻道」や「不自然な土・木粉」がないか点検します。
とくに玄関ポーチまわりやウッドデッキなど、基礎が影になる場合は懐中電灯を使って入念に調べます。
また基礎に密着させてゴミや障害物を置いていたら要注意です。
② 垣根、木製デッキ、テラス、塀などの足元(地面近く)をチェック
地面近くの木材は湿っていることが多いので定期的に確認が必要です。
マイナスドライバーをグッと刺して、バキバキと簡単に表面が剥がれたら侵食されている可能性があります。
建物周辺に木材や古木が放置されている場合にも同様にチェックします。
③ 玄関・勝手口の周辺を点検する
玄関・勝手口の床(タイル・御影石・モルタル部分の壁ぎわ)や、上がり框の下、シューズボックスの中などに「蟻道」や「不自然な土・木粉」が落ちていないか懐中電灯で確認します。
④ クモの巣に羽がついていないか確認する
巣立ちして外に飛び出した羽アリは、着地したあと不要になった羽を自ら落とします。
吹き溜まりに羽が積もっていたり、着地前にクモの巣にとらえられて羽だけが残っていることがあり、このような光景を目にしたら要注意です。
シロアリを研究する
シロアリの生態を知り対策に役立てましょう。
日本には20種類ほどのシロアリが生息しています。
その中で建物に被害を与える代表的なシロアリが「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」です。
ヤマトシロアリ
ヤマトシロアリは、北海道北部を除き、ほぼ日本全土に分布します。
侵食箇所が巣を兼ね、適当な生活場所と餌を求めて集団で移動します。
湿った木材や土の中で生活し、土台や床束、大引き、根太などの建物下部を侵食します。
乾燥に弱いとされてきましたが、水を運ぶこともでき、ある程度乾燥した木材でも生活できることが最近の報告でわかっています。
ヤマトシロアリの一生
イエシロアリ
イエシロアリは、神奈川県以西の海岸に沿った温暖な地域に生息していますが、近年の温暖化傾向により、以北の地域も安心はできません。
地中や建物に巣をつくり、100mもの広範囲で餌を探しまわります。
一つの巣に数十万匹から百万匹が生息するうえ、乾燥した木材でも湿らせながら侵食するため、被害は建物全体におよびます。